熱の利用

家庭で使用されるエネルギーの中で熱に関する消費が多いことは先に述べましたが、家庭で熱を利用する方法は、一般には以下の3つが考えられます。

  1. 石油、ガスなどの燃焼によって得られる熱を直接利用する。
  2. 電気エネルギーを熱に変換する。
  3. ヒートポンプを利用し、環境中から熱を抽出する。

「ヒートポンプ」とは一般的にはあまり聞きなれない言葉かもしれません。実をいうと、上にあげた方法の中で熱を得るために理論上最も高い効率が得られるのは、この「ヒートポンプ」を利用する方法なのです。
この方法は、投入したエネルギーの3倍から4倍の熱を得ることもできる方法です。
ここで、物理の時間に教えられた「エネルギー不変の法則」に反して、なぜ投入したエネルギー以上の熱量が得られるのか疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。実は、ヒートポンプは熱を発生させる装置ではなく熱を移動させるための装置です。
熱を低いところから高いところに汲み上げることにより温度差を発生させ、この温度差を熱として利用する仕組みになっています。この温度差を得るためのエネルギーが一般的には、実際に得られる熱量に比べ非常に少なくてすむため高いエネルギー消費効率が得られます。

身近な水を得る手段と対比しながら説明した表が以下のものです。
簡単に説明すると、水を得るためには、二つの方法があり中学校の理科の実験で習ったあの「水素と酸素を化合させて得る方法」と、「既に存在する井戸や、河川からから水を汲んでくる方法」があります。
同じように熱を得るための方法も化石燃料と酸素を化合(燃焼)させて得る方法と、身の回りに豊富に存在する空気や、大地がもつ熱をヒートポンプを使い抽出する方法があります。

  化学反応を利用する 物理的手段を使う
水の場合 水の場合水素+酸素 水の場合井戸や、河川などから汲んでくる。
熱の場合 熱の場合化石燃料+酸素. 熱の場合大気や、大地からヒートポンプで抽出する。

しかし、ヒートポンプには、温度差を得るためにエネルギーを消費するため、大きな温度差を得ようとすると、原理的にエネルギー消費効率が悪化することになります。
実は、家庭で用いられている一般のエアコンには、このヒートポンプが組み込まれているのですが、冬場の外気温が低いときに暖房に電気代が多くかかるのもこの性質が影響しています。
一般に外気温が5℃以下の場合はデフロストの発生もあり効率が落ちると言われています。
このヒートポンプ効率が冬場に悪化する問題点さえ解決できれば熱を得るためのもっとも理想的な方法であるといえます。

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