佐賀県の南部に位置する有明海は、最深部においても20数mと浅く、しかも干満の差が6mに及ぶため、干潮時には広大な干潟を形成しています。また、有明海には、筑後川を始め多くの河川がそそいでいることから、海水は栄養分に富んだ好漁場となっており、日本一の生産量を誇る海苔の養殖やアサリ、アゲマキなどの貝の養殖が盛んに行われています。
しかし、この昔からの好漁場である有明海沿岸において、1972年頃から商品価値のない小型のマガキの繁殖が目立ち始めました。カキは、死んだカキの殻の上に卵を産んで次々に繁殖し、現在50cmから1mの厚さに堆積したカキ殻層は、佐賀県海域だけでも800ヘクタールに達し、海苔養殖用の竿を立てることができなくなったり、アサリ貝の養殖が困難になるなどの漁業被害をはじめとし、この肥沃で美しい海の環境を大きく変化させようとしています。

これに対処するため漁業保全事業が毎年行われ始めました。当初の方法は、堆積カキ殻をバケットで運搬船にすくい上げ沖合で、運搬投棄する方法が一般に取られていました。しかしこの方法は、「運搬に費用がかかる」、「海上投棄の場所の確保が難しい」などの問題もあり、有明海の再生には、新しいシステムの開発が望まれることになりました。

ワイビーエムは、廃棄物を排出しない環境にやさしい、ウォータージェットを使った堆積カキ殻を現位置粉砕処理するシステムを実用化しました。

このシステムでは、船上より吊るしたウォータージェットを噴出する破砕処理機で粉砕し蠣殻の堆積しているその場での完全な廃棄物ゼロの処理を実現します。これにより、海苔やアサリの養殖に適した元の肥沃な海底へと変身します。また、余談ではありますが、堆積カキ殻は、細かく粉砕されるため、海底面が50cmほど下がり浚渫効果もありました。

おかげさまで、この環境にやさしい海の再生システムは1986年以来、ささやかではありますが有明海の豊かで美しい海をかげながら支えさせていただいています。

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