ワイビーエムはいわゆる典型的な地方の研究開発型のメーカーである。
これは、昭和21年敗戦直後の創業である吉田鉄工所による唐津炭田の石炭調査用ボーリングマシン・ツールスの修理、製造に始まり、小さいながらも戦後復興に寄与した。

昭和30年代後半の相次ぐ炭鉱の閉山後は紆余曲折を経ながらも、ボーリングマシン及びツールスの製造販売は次に来る大型ダム、橋梁、トンネル等々に代表される国土開発のブームに乗り、九州を中心として盛況を極めた。更に40年代に入り、西日本九州を基盤に持つ本格的なボーリング機器メーカーとしての地位を築いていった。

昭和48年の第一次オイルショック以後50年代は更に石油・地熱開発のための大型掘削ツールス製造のライセンスとも言えるAPI(アメリカ石油協会)の認定を受け、本格的な石油・地熱の掘削ツールスも生産ラインに加わった。これは世界に当社の技術の確かさを広く示した事になる。この頃より石油掘削会社地熱開発会社を相手とする東京での足場を築いていった。一方商社を通さず独自で東南アジアを中心にボーリング機器類の販売が始まり、更にODAによりアフリカ・アジア地区発展途上国への大型トラック搭載掘削機を多数出荷した。昭和50年代後半から60年代にはボーリング用ポンプの技術は鋼矢板・鋼管杭打設用高圧ジェットポンプ及び地盤改良用の高圧ジェットグラウトポンプへと進み、業界シェアNo.1となった。これは、羽田空港沖合展開工事に代表されるウォーターフロント計画で大活躍をし、更に、この技術は後の阪神淡路大震災の復興にも貢献することができた。

バブル崩壊以降は厳しい経済環境の中でも研究開発型の社風を変える事なく、いち早く21世紀に向けた環境適応型マシンの研究開発に力を注いだ。その開発コンセプトは、低騒音、小型、軽量、省人化(省力化、スピード化、コンピュータ化)である。
それはECO-13Vに代表される低騒音急速削孔機や一般住宅の基礎の地盤改良機GIシリーズ、その地盤の調査結果を現場で図表まで出せる全自動調査機SST-100シリーズ等である。特に住宅地盤関連機器類は阪神淡路大震災以後宅盤改良の効果が強く認識され、大手住宅メーカーはこぞって耐震構造、またその基礎の重要性に注目し、採用し始めた。
特に木造三階建ての認可も含め、これら住宅地盤関連機器類の需要は新たな仕事として増加傾向にある。これらに加え、トリクロロエチレンに代表される土壌や地下水汚染が新たな社会問題となり当社はこれらにも着目し、ECO-1V、ECO-3Vという小型低騒音土壌汚染調査専用機、さらにVOCの浄化システムとしてマイティーエコシリーズを開発した。
これらの装置は各々、平成11年度・平成12年度に環境省水質保全局が公募した”土壌地下水汚染対策新技術実証調査”に採用されその技術が認められた。

以上の様な従来当社の得意とする地下に関わる機器及びソフトを含む研究開発に加え、高圧ジェットポンプの応用技術により水の殺菌及び浄化に効果があることを発見し、それを利用した様々な水の浄化システムについて開発研究を進めている。
この様な全く新しい分野への取り組みも積極的に行い、次世代へ向けた新たな柱の一つとすべく努力がされている。

取締役会長 吉田哲雄(工学博士)

ページ上部へ